キングスマン、ゼロ・グラビティ、ズートピア

最近、といっても、少し前になってしまいましたが、飛行機で見て、「これ、いい!」と思った映画の感想です。Twitterにはつぶやいているんですが、長い感想は書けないし、流れていってしまうのでブログにも残しておきます。

あと、MacBookで何か文字を打つのが楽しいというのもある……(^^)。

『キングスマン』は、予想外にシリアスな(笑)スパイ映画だった



ギャグ映画だって、聞いてたんですよ。
だから、思いきり笑おうと思って見たんだけど、ほとんど笑えなかった(笑)
脚本のよく練られた、シリアスな(部分もある)素晴らしい作品だったからさーー!!


私にとって「何も考えずに」笑える映画とは、『ジョニー・イングリッシュ』みたいな作品です。
Mr. ビーンがそのままスパイになったような(と、言うと、ローワン・アトキンソンは怒るかもしれないけど)『ジョニー・イングリッシュ』シリーズ、なぜかうちはDVDを二枚とも持ってますが、それに比べると、『キングスマン』は明らかにB級ではないし、「何も考えずに」笑える映画ではなかったですね。



もちろん、ニヤッとする面白さは、たくさんありましたよ。

スパイ映画の伝統をふまえ、徹底的におちょくっているところ。
ガジェットはスパイ物の定番。傘がイギリスらしくて良かったです。
女性とゴニョゴニョのラストまでパクってくれるとは思わなかった。
あれ、昔の007でお約束のラスト(ある意味ギャグシーン)ですよね!

皆が感想を書いてるけど、コリン・ファースのアクションも笑っちゃうほどすごいです。
あれ、スーツを着たおっさんあずみだから。
人がたくさん死ぬので、心が痛むところはありますけど。

それと、イギリス的な「伝統」をしっかり押さえているところも、グッときました。
イギリスの「ジェントルマン」という伝統。
でも、「生まれで貴族になるんじゃない。学ぶことでなるんだ」と言わせてるところに、現代性があります。
「マナーが紳士を作るんだ」も。
郊外の貴族の館など、いかにもイギリス映画という感じですが、やっぱりうっとりです。
サヴィル・ロウのスーツとか。

コードネームは、アーサー王と円卓の騎士から。
聖杯伝説を知っていれば、「ガラハッド」という名前にも深みを感じます。
もっとも汚れのない騎士、なんですよね。
それに「マーリン」ときた!

というわけで、
「スパイ映画のパロディ」
「漫画的アクションシーン」
「イギリスの伝統」
あ、もちろん、「メンターと出会った不良青年の成長」
いろいろな楽しみ方ができる映画でした。

ラスト近くの盛大な花火大会は、
「バイバイ、イルミナティ(邪悪な権力者たち)」
という意味だと私は解釈しましたよ(爆笑)

人類をコントロール可能な人数に減らす、という計画は、イルミナティ陰謀説の十八番ですもんね。
正直エグいシーンですが、この映画で一番笑えて、かつ、シリアスな場面でした。

そういえば、「これは映画じゃない」という台詞が大事なシーンで二度出てきますよね。ここまで「現実っぽくない」映画でそりゃないだろう、と思うわけですが、ちょっと意味深です。

スパイ組織が理想的でよかったです。敵も新感覚だけどね。

元CIAスパイの手記や、実際のMI5に取材したドラマ『MI5』などを見ると分かるのですが、現実のスパイってそれほどかっこいいものじゃないんですよね。当たり前だけど。
『キングスマン』のようにはいかない。
はっきり言えば、国家の「犬」なんです。『MI5』では、”国家が豪華客船だとしたら、自分たちは洗濯室のクルーだ。表甲板を歩くことなく、お偉方が汚した衣類を漂白している”という台詞がありましたが、そういうこと。
だから、SHERLOCkのシャーロックにも、お兄さんのようにMI6になって欲しくないんだよ。探偵のほうがずっといいよ。仕事が選べるんだもん。

『キングスマン』は、一見スパイ映画をおちょくっているように見えるのですが、同時に、妙に理想主義的というか、国の思惑に左右されず独自の正義のために存在するスパイ組織があったらいいなーという夢が、ユーモアをたっぷり織り交ぜながら描かれているように思いました。

ハリーが出てこないのはすごくさびしいけど、続編も楽しみにしてます。
でも、続編が『キングスマン』世界の延長線上にあるなら、相当、世界線を変えちゃってると思うけど。


2015年イギリスの一押しスパイ映画にコリン・ファースとヒュー・グラントが出てるんですね。『U.N.C.L.E.』のヒューさんは若干脇役だけどね。

『ゼロ・グラビティ』


ANAの飛行機の中で見ていたら、突然、涙が出てきたので驚きました。
何に感動したのか自分でもよく分からなかった^^;

「#好きな映画をつまらなさそうに紹介する」というハッシュタグがTwitterにありますが。
この映画をひとことで表すと「帰ってくる」、まぁ、これだけなんですよね。

夫は、私が涙ぐんだのを見て、自分も同じ映画を見始めたのですが、「主人公が宇宙飛行士と思えないほど技量が未熟なので、そればかり気になっていた」と、とくに感動はしなかったみたいです。www
いや、あの人は研究者で本来宇宙飛行士じゃないんだよ、って言ったんだけど。

私が感動したのは、人間って小さいなぁ……、ということです。
地球という重力の星がないと生きていけなくて、その地表で、あれこれ悩んだり落ち込んだりしながら生きていて……宇宙空間では、問題が発生すると次々と簡単に死んでしまって、本当に無意味で、小っぽけな存在なんだけど、でも、それが愛おしいなぁ、と思いました。
不思議な映画でした。

ジョージ・クルーニー、いい役を持っていったわ(笑)

それから、宇宙から眺める地球はほんとうに美しかったというのもあります。当たり前だけど、国境がないんだなぁ。


美しい地球を眺めるために買ってもいいかも。
あと、落ち込んだとき見たら、自分の悩みが小さく思えそう。

『ズートピア』

お子様向けのもふもふ動物映画だと思っていたら、全然、違いました。
現代社会について深く考えさせられるように作られている。シナリオすごい!

「本能(biology)を越えて」肉食動物と草食動物が仲良く暮らす、というアイディア。
そんなこと生物学的にありえない、の一言で片付けてしまうと、この映画が分からなくなってしまう。
人間だって一緒でしょ? 戦争や暴力という本能を越えて、さまざまな人種や民族が共存する。

でも、本能を越えるというのは、言うほど簡単なことじゃない。

一見ユートピア(?)に見えるズートピア=人種のるつぼ・アメリカにも困難な問題がたくさんあって……というね、本当に今という時代をよく考えていて、どういう方向に世界を持っていきたいか、というシナリオライターの心意気を感じました。寛容、共存、平和。

とか何とか、真面目なこと書いちゃったけど、しっかり、ニックとジュディ萌えになるように仕向けられてます。
ラスト以外ほとんど恋愛要素ないのに……さすがだ、ディズニー。

細かいことだけど、いじめっ子だったジュディの幼なじみが、後で「俺、あの頃は自分に自信がなかったんだ」っていうのもリアルでよかった。
他人に攻撃的で暴力的なのは、強いからではなく、自分のメンタルに問題があるからですよ。

三つともいい映画でした。


おしまい。(写真は、全然関係ないハノイの写真)

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